約 3,427,940 件
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/1609.html
#blognavi 雨水っても、冷たい雨で、床が冷たい冷たい。でも、梅の蕾は膨らんでるし、チューリップの芽は出てるし、バラの芽も日に日に大きくなってる?ような気がするこのごろ。 部下を守れない上司は駄目だ。 社員はパズルのピースか?それなりに勉強して形を合わせてきてるのに、どうしてそれを無視するようなことするのかね。また同じ部署の人が別の事業所に配置転換だ、もう、何人目? カテゴリ [つれづれ] - trackback- 2013年02月18日 21 21 44 #blognavi
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/562.html
#blognavi 知らないうちに可決していたらしいじゃないですか、先週に! 草案は7月中、実施基準は10月だかに発表か・・・上場企業は大変だな。うちはんなもん関係無い中小企業だけどネ。 大体、内部統制とか言う前にやることあるだろよ、日本の企業はさ。特に中小は。日本の「商慣習」つう言葉を隠れ蓑に、ビジネスルールもあったもんじゃない。その変幻自在さが日本の底辺を支えていると言えばそれまでだけど、その無理のあおりを食らっている人も大勢いるわけよ。投資家やさ株主保護を謳う前に、こっちに目を向けて欲しいよ。 おおっ? ふらふらっとゴールに入りましたね。 カテゴリ [つれづれ] - trackback- 2006年06月12日 22 56 08 #blognavi
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/1166.html
#blognavi 忘年会で出ました。 忘年会が中華料理だったんです。でも、上海ガニが出たので、全部でお皿が6つしかありませんでした。そのうち炒飯とサンラータンなので、実質4。しかも、うち2皿が海老。うーむ、もうちょっと色々食べたかった。 二次会には行かなかったので、8時40分に家に帰れました。 カテゴリ [つれづれ] - trackback- 2008年12月03日 21 33 42 #blognavi
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/424.html
#blognavi どうして・・・お父様。 どうして、わたくしではないのですか。 幼い頃からずっと背中を見上げておりましたわ。 お父様の願いを、声を、ずっと聞いておりました。プラントの未来、コーディネーターの平和のために歌い続ける覚悟ですのに。厳しい政治の話も、難しい議会の情勢もちゃんと理解しているつもりですわ。 わたくし、きっとお父様のお役に立てます。 必要ならわたくしが隣に立っていつも支えます。 それなのに、どうして、お父様はあの方のお話ばかり嬉しそうにされますの? わたくしが女で、あの方が男だからでしょうか? わたくしでは力になれませんか? 女としての幸せを捨てても、お父様の夢見る未来のために貴方の跡を継ぐ覚悟でしたのに、急に婚約をお決めになって。 彼がプラントを背負って立つ日が楽しみだなんて、どうか、おっしゃらないで下さい。 わたくしは・・・わたくしが貴方の娘。 カテゴリ [ネタの種] - trackback- 2006年03月14日 20 09 44 #blognavi
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/97.html
青く輝く炎 2本のライトセーバーが交わる中心にシンは赤い閃光を突き立てる。力押しで全体重を傾けた。 「いい加減にっ」 話したおかげで口から力が抜けるようにシンのバランスが崩れたが、お構いなしにライトセーバを振り上げる。青の光がシンに迫る。 「思い出せよっ!?」 シンのライトセーバーより、彼のライトセーバーより早く、シンの左手が炸裂した。 パイロットスーツのヘルメットを思いっきり殴る。 「アスランじゃないってんなら、顔を見せろよっ」 その手で胸倉を掴み、剣を放り投げた右手で強引にヘルメットを外しにかける。 「何をっ!?」 シンの右手を青いライトセーバーが狙うが、掠っただけで、二人が二人とも体勢を崩した。勢いでシンの手から地球軍のヘルメットがすっぽ抜ける。 あんなに見慣れた藍色の髪じゃない、灰色が無重力に舞った。 間髪おかずにレベル1退避勧告。狭いスペースでさえ、轟音を立てて天地がひっくり返った。ブロックごとに分解して、引っ切り無しにサイレンと退避勧告が流れる。背後で扉の閉まる重い音。まだ非常隔壁が生きているのは二人に取って、まさに僥倖だった。急激に重くなる身体を絡ませながら、二人は壁に押し付けられたまま落下の瞬間を迎える。 衝撃ではじけ飛ぶ彼のバイザー。その下から現れる瞳はシンをいつも見つめていた色。 シンがいつも見ていた懐かしいグリーンだった。 轟音を立てて次々に火柱を上げ、形を変えていくヘブンズベース。 ちりじりになった地球軍は要塞を捨てて、月面基地まで後退した。 勝敗の決した戦場では大抵、略奪行為が行われる。しかし、こと宇宙空間においてはいたずらに破片を撒き散らし宙域を汚染するだけのその行為はあまり行われない。 残党狩りが行われるのみで、編隊を組んで母艦に帰る機影がほとんどだった。ミネルバからもヴォルテールからも帰還命令が出ている。直前までシンと一緒にいたイザークがなおも宙域に残ろうとしていた。 『イザーク、ちょっと待て。戦場洗いは俺たちの仕事じゃないって』 「うるさい、放っておけるかっ!」 崩壊する要塞の周囲を検分するように飛び、時折起る爆発を避けてまた近づく。その繰り返し。 『お前、隊長だろ?』 「ディアッカ、隊のことはお前に任せる! 臨戦体勢のまま待機。すぐに動けるようにしておけ!」 『まじぃ? まだやる気なのかよ』 白い機体から離れていく黒い機影とは反対に、イザークの機体が分裂するヘブンズベース要塞を周回していた。 ユニット構造になっていた要塞は分解してしまえば一つ一つはそれほど大きくない。密閉性を高めるためにそれぞれが独立して機能する。 シンが今閉じ込められているのもそんな空間の一つだった。 通常のユニットと違うのは何もエネルギーが補給されない有限の環境だと言うことだ。水はもとよりないし、エアーも切れればそれで終り。パイロットスーツから供給される空気にも限度があったから、もしもの時のために取っておくために、今はヘルメットのバイザーを上げて空間に残された空気を吸っていた。 ここに閉じ込められてからどれだけ時間が立っただろうか。 5・6時間は少なくとも立っていて、その間、二人の間に会話はない。 向き合って一言も言葉を交わさない静寂の時間に身を浸していてると、今、この宇宙で大きな戦争が行われている事が嘘のように思えてくる。きっと今も戦闘は続いているのだろうに、お互いの呼吸が聞こえそうなほど静かな空間では、シンとアスランかも知れない人物との二人だけの戦争がずっと続いていた。 片膝を立てて壁にもたれる姿はシンほど警戒していないように見えて、近寄れない雰囲気を纏っていてシンはずっとそこから動けなかった。 どうしてこんな事になったのだろう。 シンは湧き上がる疑問に、次から次にアスランの思い出が浮かんできた。随分といろいろな事があった。家族を亡くしてから初めて家族だと思える人だったのに。 フフ。柄にもなくシンは小さく笑い出していた。 僅かな空気を挟んで、少し揺れる気配が伝わってくる。 「アスランって奴、君のなんなんだ?」 何だと聞かれても返事に困る。 「えっと・・・先輩で、恩人」 本人を前にして話すような気恥ずかしさに、自然としどろもどろになる。 「そんなに俺と似てるのか? 今はどうしているんだ」 「・・・んだ。と・・・思う」 否定できない事実。何度も何度も夢に見た、惨劇の瞬間がまたフラッシュバックして強く目を閉じる。自分で刺したのだ。フリーダムの奴にも刺されて、普通に考えれば助からない。コーディネーターだからという一点に賭けていた。だけど、それも、もうどうでもよくなっていた。こんな形で彼がアスランであって欲しくない。 「アンタとなんか似てないよ。髪の色も違うし・・・あの人は違う」 いつもちょっと困ったように笑って、シンにお小言を言う。 作戦が成功すればよくやったと誉めてくれるけれど、あまり嬉しそうじゃなかったのを知っていた。戦場に横たわる兵士の死体をいつも悲痛な顔をして見つめていた。 「アンタとは違う」 アスランは死んだんだ。 記憶があってもなくても、あの人はもういない。 「一時休戦だな」 休戦となったシン達から遠く離れたコロニーで、評議会のデュランダル議長がヘブンズベース攻防戦の戦果の報告を受けていた。結果は上々。 『月軌道艦隊司令からの報告は以上です』 アルザッヘルまで後退した地球軍に目立った動きはなく、建て直しを計っているのだろうと軍参謀から通信を受ける。 「うむ」 手を組み、次の作戦の陣容を黙って聞く。 「その作戦、どこの立案かね?」 唐突に質問された画面の向こうの黒い軍服を着た男が、一瞬言葉につまる。 「我が軍の損失も考えてくれたまえ。人材は有限なのだよ」 ともすれば、敵を完膚までに叩きのめそうとする作戦に議長は苦い顔をする。地球軍に勝って独立を宣言するだけでは済まないだろう。 「我らの目的は征服ではないのだということを、よく肝に銘じていてくれたまえ」 『はっ。メサイアの件は保留という事で再度参謀部から提出いたします』 敬礼して消える通信に彼が、デスクのグラスに手を伸ばした。 「我らが地球から完全に独立するなど、できはしないものを」 人類が宇宙に進出してから年月が経つが、今だ人は地球と月から離れた場所で生活を営む事はできないでいた。火星と木星の衛星には氷を発見し、十分な太陽光を確保できるというのに、人は地球上とコロニー、そして月面までしか生活圏を拡大できていなかったのだ。 同様にそれは戦場の宇宙への拡大を意味していた。 「ミネルバの様子は?」 議長の執務室に控えていた秘書達が資料を渡す。地上から宇宙に上がったあともミネルバの活躍には目を見張るものがあった。 「やはり、あの艦は勝利の女神かも知れんな。ニーベルングで合流艦隊を撃たれ、戦力的に不利だった戦況をひっくり返すとは」 「それから、SEEDを持つ者ですが、前大戦時から言葉だけは存在していたようです」 地球から遠く離れた月面近くで繰り広げられた戦争に、地球の人々がどれほど関心を寄せただろう。まして、そこで命を落とした者の事など歴史の1ページにもなりはせず、彼らの慟哭は星となって消えるのだ。 「俺の知っている奴に・・・」 唐突に前方から届くか届かないかの、辛うじて聞き取れる声がした。何を言い出すのだろうかと身構えていたが、彼は気にせずに誰に聞かせるでもなく続けた。 「生まれ育った国を失って、もう何も失いたくないと力を求めた奴がいて」 戦争で被害に遭うのはいつも力のない一般市民だ。シンだって戦争で家族を失った。4年前のあの時にはそんな人々で溢れ返っていた。 「戦争がまた始まって、一人でも力のある奴が欲しくて軍は手当たり次第に人集めをした。だが、はい戦争をやれと言われても、いきなりうまく人殺しができるはずがない」 地球軍の強化兵、エクステンデットは戦争をするために生まれた人体兵器。 「訓練もせずに戦場に放り出されて生きるために必死だったな。失敗すれば待っているのは死だから、誰もが必死になった」 シンはステラ達を思い出す。彼らもあの過酷な環境の中で生き残るために必死だったのかも知れない。薬漬けにされて、戦う事しか生きる事を許されない。 「人を多く殺せば皆誉めてくれて、そこに居場所があると思うのだろうな。どんどん強く、人を殺すのがうまくなっていったよ、それはもう別人のように。まだ子供のくせに」 ステラと一緒にいた少年達。ゲームでもするように戦っていた。 「アンタはどうなんだよ」 「俺はいいんだよ、元々人殺しの犯罪人だ。なのにあいつは普通の少年のくせに、好きな女の子がいても告白できずに、焦って空回りばかりして」 彼らにもそんな日常があったのだろうか。戦闘ばかりの毎日で誰かを好きになる、なんて事が。その子の言動に一喜一憂して。 「へえ、エクステンデットって馬鹿なんですね」 シンが奪ってしまった命はシンと何ら変わらなくて、本当にナチュラルもコーディネーターもエクステンデットも同じだと思い知らされる。 「ああ。命令無視して一人で飛び出したりしてな。その子が好意を寄せていることに気が付かなかったから、こっそり後をつけられた事も知らないで」 どこかで聞いたような、話だ。 シンの焦燥をよそに彼は話しつづける。 スティングとかアウルとかいう奴の話をしているのか? 「それで反対に危険な目にあわせてしまったりな」 違う! それは俺だ。 「後先考えずに動くから、そのうち大変なものを失うんじゃないかって心配だった。君はそうだな・・・そいつに似ているよ」 俺の話をしている・・・。 「戦争がなければ、君達はきっと気が合っただろうに」 なんでそんなこと、今頃! アンタはアスランさんじゃないのに! 今すぐ確かめたい衝動に駆られた。 「アンタ本当に誰なんだよっ!?」 「地球軍パイロット、コードネーム:A・Z。ラボ出身の強化兵さ」 「嘘だっ!!」 シンの叫びと共に、ドシーンと狭い空間が押しつぶされた。 何かが上に落ちたのか空間がひしゃげている。揺れが収まってまず、耳についたのはかすかな音。 「ここに閉じ込められてから5時間だ。君のそのパイロットスーツ、あと何時間持つ?」 「何だよ」 シンは意味が分からずに聞き返す。相手は呆れたと言わんばかりに今や本当に天井かどうか分からない天井を仰いで、掃き捨てた。歪んだ天井にシンのライトセーバーが挟まっている。 音がそこから聞こえるような気がして、それはまるで何かが抜けるような。 シンはサーと血の気が引いていくのを感じた。 僅かだけど空気が漏れている。 「このままだと窒息死するか、凍死するかって話だ」 俺は五体満足だから、この空間の酸素がすべてなくなっても少しは持つ。 だけど、この人は助からない。 「安心しろ。丸腰の君のメットを奪ってまで生き残るつもりはないさ。俺は散々殺してきたしな罰があたったんだろ」 自分だってライトセーバーを無くしているくせに、とシンは言わない。 守りたいから、知りたいから、確かめたいからと言ってはすぐに動いた。 俺はどうして、もっと自分のやったことでどうなるかってこと、考えなかったんだろう。 これも全部、俺がアイツからヘルメットを奪ったから、こんなことになってるんじゃないか。 それを沢山殺してきた罰だって? 「今更そんなこと、言うんですか!」 はは、ちょっと待て、俺。 何を考えているんだ。そいつは地球軍の赤い死神・インフィニティで、ここでいなくなればそれだけ俺たちの犠牲が減るんだぞ。これじゃあ、俺がこの人に死んで欲しくないみたいじゃないか。 「アンタも俺も、散々敵機を落としてきた。だけどそれは、いつか掴む世界のためでしょう!? 何のために貴方は戦っているんです!」 彼が望んだ世界が潰えてしまう。きっとシンと違って、ずっと先を見ていたのに違いないのだ。 「止めろ、酸素が減る」 「散々しゃべっておいてそれはないですよ」 身じろぎした姿から責めるような視線を感じる。宇宙空間の温度はマイナスだ。空調も何もない要塞の残骸の中で急速に冷えていく空間。パイロットスーツに身を包んでいるとは言え、長時間じっとしていてはどうしても身体は冷える。 「足りないのなら分け合えばいいんです」 シンは壁を蹴って、反対の壁の方に向かった。6分の1の重力下で緩やかにカーブを描いてシンは身動きしない敵兵に覆い被さった。 冷たい体。薄い空気にさすがにシンも朦朧とする。なんとか二人が助かる方法を考えるがいい方法が見つからない。確実に気密が確保される事が前提で事を進めようとするとここから動けない。 感覚がなくなった左手とは別に支障なく動く右手がなんとも皮肉だった。 人工の感覚の上を動く空気の流れ。呆然と流れを見送って、空気の漏れる先に目をやるが、それを塞ぐ方法も見つからない。灰色の尖った建造物が突き刺さっていて、押しやれば最後、一気に空気が抜け、彼は死ぬ。 シンは忌々しくその物体を見つめた。 尖った先端は戦闘機の機首のようなカーブを描いていて、戦場で爆散した戦闘機の破片かも知れない。 どこまでも、運命は俺達をあざ笑うのか。 俺やこの人が落とした機体かも知れない。 デスティニー、今どうなっているだろうか。度重なる戦闘にせっかくのトリコロール色だったのが最近ちょっと汚れてしまった最新鋭の機体。そう言えば彼の機体はいつも深紅だったなと思い浮かべる。両翼が赤く光って何もかもを切り裂いていく。コックピットから翼に伸びるラインは、ちょうどあんな感じで。 そんな、馬鹿な。 シンはそれが呼べば飛んでくる機体だとは知らない。 色はすっかり落ちて灰色になっていたけれども、あれは彼の乗機。 これで助かるかも知れない、しかし、よくよく目をやれば、コックピッドの部分は崩れて突き出た隔壁に阻まれて開きそうになかった。そもそも動くかどうか分からない、それでも、助かる確率があるのなら。 あの邪魔している部分さえどければ手動でキャノピーが開くかも知れない。 「ちょっと、待っていてください」 シンは天井に挟まっているライトセーバーを取りに行くが、亀裂に入り込んで、手を伸ばすがギリギリ届かない。 腕がちぎれるかと思うほど伸ばすが、指先に触れる事もできない。 あれがあれば助かるかも知れないのに。 俺にあれを動かす力があれば。 SEEDを信じるんだ。 シンは頭の中心に響く声に目を見開いた。 「アスランさん!?」 振り返るが、気が付いた気配はない。 シードって何だ。 気を取り直して、もう一度手を伸ばす。 気持ち、グラグラと揺れたような気がして、瞬きを繰り返す。 あと少しなのにと焦る気持ちを包むようにSEEDを信じろというアスランの声がして、ライトセーバーが掴めたような気がした。手に感触はないけれど、亀裂に挟まったシンのライトセーバーがスポッと抜けてシンの手の中に飛び込んでくる。 うそっ。 今度は落とさないようにしっかり掴んで、色の落ちたインフィニティに向かう。キャノピーを塞いでいる建材を赤い光剣で切断する。勘で手動の開閉装置を探り当てるとゆっくりとスライドした。慌てて、力なく横たわる彼の傍に向かえば、さっきまで微動だにしなかった体が立ち上がっていた。 「機体から離れろ」 先ほどまでは打って変わった厳しい顔つき。 「なっ!」 驚く間もなく、シンは後から来た衝撃に吹き飛ばされていた。機体が生きていたのか?と振り仰げば色は灰色のままだったが、緑色の機首の頭が増えていた。さらに、びくともしない筈の気密ハッチがチカチカ光っている。 「動くなっ!」 銃を構える姿はプラントのパイロットスーツで。 緑の機体から飛び降りた少年が呼応するように銃を構えていた。 「早くこっちに来い。貴様のデスティニーはちゃんと確保した」 「あっ、イザークさん」 突然の事態にシンは内心オロオロして事態を見守るが、友軍の隊長はそうではなかった。 「貴様、何者だ・・・」 イザークが問い掛けるのは地球軍のパイロットスーツを来た彼。威嚇するように発砲するが動じた様子はなく、弾けたように、もう一人の地球軍の少年が叫ぶ。 「早く来いよ!」 「ああ、悪い。聞こえているよ」 苦笑し、緩く蹴って彼の愛機の元に向かう。シンはシンでイザークが入ってきた隔壁に向かう、二人がすれ違う瞬間。 「本気で来いよ、次から手加減はしない」 「臨むところです。勝ち逃げなんて許さないですから、俺」 「じゃ、休戦解除だな。シン」 振り返るそこには、くるりを身体を反転させて、シンが去っていく後を見つめる姿があった。シンとイザークの前で灰色の機体に乗り込むや否や機体の色が鮮やかな深紅に染まった。イザークもシンも、彼がキャノピーが閉まるまで二人を見ていてその場を動かなかった。 「どういう事だ、アスラン」 「あの人はもう違いますよ」 イザークが零した一言にシンは返していた。 彼はアレックスでもなく、シンと共にミネルバにいたアスランでもない。世界の動きに受身に対処していた彼はもう居ないのだと、その役目を終えて彼の舞台へと戻っていったのだ。一体それがなんなのか、シンには計り知れなかった。それが今の行動にどう結びつくのかも。 彼が見ている未来を一緒に見たいと思ったけれど、シンにはシンの夢があった。 俺、負けませんから。 「まあいい。あとで説明してもらう」 シンとイザークは要塞の残骸から脱出して戦場たる宇宙に戻った。 報告を聞き終えたデュランダル議長がクッションの効いたイスに深く沈みこむ。 「SEEDを持つ者は物体を自在に操れると言う。手を触れずに物を動かし、自らは宙を飛ぶ。我ら人類の進化した姿なのかも知れんな」 窓から見える星空にはちょうど地球と月が映り込んでいた。 議長の独り言に執務室に控えるもの達から返事はない。 「しかしなぜ、その力を平和解決のために使おうとしないのだろうね」 報告書の最後の方に、アークエンジェルの動向があった。デスクにあった報告書を手にとって、軽く叩いた。 遭難!遭難! と書き始めの頃考えていたシーンがこんな形になってしまうとは。雪山遭難だったはずが、あ~あ。このシーンのためにいろいろ伏線を仕込んでいたはずなのに、すっかり何だったか忘れてしますがな、トホホ。しかし、これ、どうやってまとめるんでしょうか>私。
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/1595.html
#blognavi 庭植えしました。&、カフェも。いやー今までずっと鉢のままだったんですね~。それから、種から育てたヴィオラもまだ花一個しか咲いてないけど、蕾もないポットもあるけど、10個程定植です。小さいのはまだポットのままだけどね。何色が咲くのか楽しみです。 今年はヴィオラを24ポット育ててたから、パンジーヴィオアらは買わんぜ!って思っていたけど、家に無い色だからと一つ二つ買ううちに、結局、チューリップの周りに植える為にケースでお買い上げ。あーあ。 来年こそは必要な色は揃えたいと思うけどF1は色が分からないんだよな~。去年のF1アンティークカラーの変わった色も今年はただの赤っぽい。いや、多少ニュアンスカラーか、どうだろう。 カテゴリ [ガーデニング] - trackback- 2012年11月18日 19 29 15 #blognavi
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/12.html
やさしさはいらない 「どうした。入らないのか?」 ドアの向こうに消えた男は事も無げに言うが、シンは正直戸惑っていた。露店が立ち並ぶ道をいくつも過ぎて、少し明かりが減った寂れた一角。戦前の建物が辛うじて残ってはいたが、窓ガラスはひび割れ明かりも弱い。 明らかに不法滞在。 戦後4年。まだまだこのような光景はどこにでもある。しかし、自分がそこに飛び込むとなると話は別だ。テロや犯罪の温床、レジスタンスの溜まり場などと揶揄されて、いつも事件が起これば真っ先に槍玉に挙げられるのはこういった地区である。自分の事は棚に上げて、シンは中を伺って肝心の人物の気配を探る。 やばい奴じゃ、ないよな。そんな人物には見えないけど、只者じゃない。深く係わり合いにならないほうがいいに決まっている。 彼はコーディネータのシンの動きを止めたのだ。肩にかけていた鞄を奥の部屋に置いてきた彼は身軽になって、シンのことを思い出したように振り返った。 「たいしたものは出せないけどね、ないよりマシだろ?」 適当にくつろいでくれと言われても、通された部屋でシンは立ち尽くす。台所のついた部屋と奥にあるらしい部屋以外に、使っていそうな気配はない。水の音がするから、水はどこかから持ってきているのだろう。電気がつくという事はそれも、どこかから・・・。シンは眉をひそめて、改めて部屋の中を見渡した。気の利いたソファなどあるはずも無く、簡素なテーブルとイスが一つ。食卓だとしたら、シンがそのイスに座るわけにはいかない。 いつまでも立ちっ放しのシンにようやく気づいた彼が『すまない』と謝って、奥の部屋から4本足の丸イスを持ってきた。 「俺はこれに座るから、君はそれに座ってくれ。すぐ夕食にしよう」 無造作に開かれた扉が冷蔵庫だと分かってシンは目を瞠る。慣れた手つきで野菜を切り、何を食べさせられるのか不安になって見守っていると、今度は電気コンロに目を剥いた。 「スゲエ・・・」 戦前では当り前だった冷蔵庫も電気コンロも、戦後世界では今だぜいたく品だ。都市部を抜きすれば、一般家庭で備えているのは一部の金持ちくらいだろう。とてもそうそうは見えない。驚いているうちに、目の前に湯気を昇らせる皿が置かれた。記憶の中に残る、食欲を誘うソースの臭い。 「ヤキソバだけど。食べたことある?」 首を立てに振る前に唾液が溢れてくる。 「よかった。味の保証はないけどね、どうぞ」 暖かい食事なんて何日ぶりだろうか。野菜なんていつ食べたっきりだろうか。『いただきます』の挨拶もそこそこに、シンは無言で皿を平らげた。 目の前の相手がじっと見ていることに気づいたのは、水を飲んで一息ついた時。シンは半分しか減っていない相手の皿と、顔を交互に見比べる。自分の食べっぷりを見られていたのも、それに気づかなかった自分にもばつが悪い。その上、微笑ましいものでも見るような眼差しが尺に触る。 「食べないんですか?」 「君は食べ足りないようだ」 フォークを持ったまま、顎の下で手を組んでいる。すっときれいになった皿を指し示されて、顔を背ける。後は2皿はいける、シンの腹のうちはこうだか、それを口に出せるほどあつかましくもなれない。 「そんなことないです」 ものすごく残念だが、相手が食べ終わるのを待ってシンは礼を言った。しかしにべも無くこれくらい当然だと水を飲んで、皿を片付けはじめる。 「君の食糧を台無しにしてしまったし」 「あなたのせいじゃないです」 元はといえばシンが力で解決しようとしたから。そこに割って入って仲裁したのが目の前の男。 「俺が余計なことをしたから、ってもあると思うが」 彼が仲裁に入らなければ、ナチュラルの少年は怪我し、シンは足元の紙袋を拾って家路についていたかもしれない。 「勝手な推測です」 しかし、その場で官警に突き出されて、豚箱入りになっていた可能性もある。結局は、どうなっていたかなんて分からないのだ。逃げ切れたかも知れない。 「君は素直じゃないなあ」 「そうですか」 段々自分でもやけになっているのが分かって、シンは口をつぐんだ。 「そう言えばまだ名前を聞いてなかったけど。俺はアレックス。君は?」 会ったばかりの人間に随分と警戒がないものだとシンは戸惑う。これっきりの可能性もあるのに、すんなり相手に答えてもらえると思っているのだろうか。只者ではないはずなのに、能天気な一面に拍子抜けする。 「君の言葉を借りると、俺は理由もないのに君にご馳走してやったわけだが」 「シン」 前言撤回。能天気だが、意地が悪くて揚げ足取りだ。 ファーストネームはいいだろ。相手も名乗らなかったのだからと、勝手に結論付けて呟くとそっぽを向いた。戦後世界の混乱の中で、頼れるものは自分だけだと身にしみて知っているのに。吐き捨てただけなのに、相手に名を明かすことに臆病になっていたことに今更ながら気が付いた。 自分の事を知っている人はもう誰もいない。彼が、アレックスと名乗った緑の目の彼が、戦後初めて、シンという人物を知った最初の人だった。 泊まっていってもいいんだぞと言うアレックスに丁寧に断って、シンは廃ビルの部屋を後にした。それはもう足早に、気がついたら全力疾走していた。ねぐらの前に来て初めて、顔をしかめる。 こんなの俺らしくない。 何から逃げているのかすら分からないのに、あそこに居てはいけない気がして逃げ帰ってきた。廃タイヤの上に布を重ねただけのベッドに身を投げ出して、人並みの生活をしている彼の部屋を思い出す。 あの残りの半分、包んでもらってくればよかった。これから一週間どうやって凌ごうかと頭をめぐらせて、いつしか眠りに落ちていた。 続く
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/431.html
#blognavi 誰も見たことないラスト。 確かに・・・。 いつもなら映画のエンドロールになると席を立つ人がいるのだけど、今回は誰もいません。皆、今か今かと待っていました。金ぴかのアレが漂っていくのを・・・。んで、劇場内が明るくなって、あれ? みたいな。 あっさりばっさりいろんなエピソードが切られて、クローズアップされた所とそうじゃない所は明確に分かれましたね。このラストは本当はテレビでもこう持っていきたかったのか、富野監督が年月を重ねるうちにこうなったのか。なんだか等身大の映画になってました。おかげで、昔の妙に観念的な部分と新しいシーンが乖離してるかなというのは否めない。 なぜにこうしたんだ?と言う部分は沢山あります。 エンディングロールの曲の入り方も良かったのに、途中で変な曲にかわってあのままでよかったのになー。とかね。 ただ、テレビシリーズを思い出しながら見ていたので、純粋に楽しめなかったのが残念。「あれ、このシーンこうだっけ」とか「この台詞はここで言っていたのか!」とか「えーっ、ここで死んじゃうのだっけ?」とか「たしかこの先こういうシーンがあるはず、おお・・・ここだ」とかね。だから、ちょっと疲れました。 最後にZウェーブライダー形態から変形するところがあるけれど、あのアングルは新鮮でしたね。やっぱりMSの戦闘シーンは力入っていたと。髪や服が動く感じとか無重力を感じさせる動きがアニメーションだなあと初っ端のハマーン様(ほっそい)を見て思いました。 とりあえず突っ込みどころをば。 キリマンジャロ。 演説。 メールシュトローム作戦披露時のブライトの勇姿は。 最後ロザミィ出てきちゃ駄目だろ。 ビーチャの活躍に黄信号。 ハマーンvsジュドーが赤信号? ご察しの通りのラストです。 で、テレビシリーズでも突っ込んだけれど、やっぱり今回も。 なぜレコアがそこにいる。 カテゴリ [いろいろ感想] - trackback- 2006年03月18日 19 08 36 #blognavi
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/81.html
これ、皆さんどう思ったんでしょうね。今回。 総集編かなと思ったら、やっぱり総集編でしたね。シンの出番が回想シーンのみという、あと3回しかないのに、どういうことですか、戦闘もない! 戦闘すら回想だった。しかも、シンが敵を倒すところばかり・・・。 ミーアが連れて行かれるシーン、なんであれ、みんな並んでるの? 送られる時も敬礼していたけど、なぜ?変じゃない? 部屋を出て行くアスランをキラが追いかけて話すところ、もっとミーアについて話してやれよ。何が、議長が悪い、だろうな。だ。もー無理やりにでも話を議長悪!に持っていこうするのはどうにかならんのか。 死者の隣でラクスとキラがいちゃいちゃするのが気に障った。泣いてるラクスが何を考えたのかさっぱり分からなかった。まあ、それは次回、おいおい分かるのだろう。まっ、頑張って世界を議長の魔の手から救ってください。 そうそう、新曲ですか?今日の歌。なぜ今頃。しかも全然良くない。あーほんと、わ・け・わ・か・ら・ん。 カテゴリ [いろいろ感想] - trackback- 2005年09月10日 21 06 52
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/294.html
その頃俺は、音楽院で知り合った彼女とペアを組んで地方巡業と称してチャリティコンサートやイベントを梯子していた。半ば強引に付き合わされたわけだが、休暇中は皆故郷に帰ったりしていたから、どうやって休みを過ごすか思案していた俺はなんとなく承諾してしまった。 彼女・カガリも俺もまだ駆け出しの学院生で、将来は音楽家になりたい、と無邪気に言い合っていた。 カガリは声楽を、俺はピアノで。 彼女の歌は未熟だけど、ダイナミックで伸びのあるいい声をしていた。俺の機械的なピアノに負けない力があって、喜怒哀楽の激しい奴だったのを覚えている。 いろいろ失敗も多かったけれど、夏季休暇の終わりがけには、カガリのことを皆も認めてくれて少なからずファンもできたと思う。 「えっ、野外ホールでコンサート?」 「そっ! 駄目元で申し込んでおいたんだ」 「駄目元って・・・」 「だから、お前も何か弾けよ!」 夏が終わる前の一週間連続で開催される、教授と学院生によるチャリティコンサートがある。出演者は応募により決まるが多数の場合は教授推薦による抽選となるのだ。競争ばかりしている学院生にとって、練習室取り合戦が始まる前の一種のお祭り期間。 「それでさ、アスラン。私、アレ歌いたいんだ!」 カガリが歌ってみたいといったのは「私のお父さん」。オペラのアリアでコンサートなどでもよく歌われている定番の曲である。 「大丈夫か? 結構きついと思うぞ。野外だし」 「それは分かっている。だけど、何事も挑戦だろ?」 定番なだけあって、伝統的なオペラ唱法で歌うその曲は、今までカガリが歌ってきた歌い方とは違っていて、発音からして実は別物だ。無論、彼女だって歌い手だ、歌えないわけじゃないが、耳のうるさい人達の前で披露できるほど物にできているかとなると?なのだ。なんせ高音域をパッサージュで自由に歌えなければならない。 彼女とアレンジを打ち合わせている最中、知り合いだという男がやってきた。 俺達はあと一ヶ月を切ったコンサートを前にして、うまく歌えない箇所について話し合っていた。曲の良さを考えるとどうしても譲れない部分で、これ以上編曲するわけにもいかず二人して打開策を探していた。 「やっぱり練習しかないよな。そうだ、練習だ!」 「後一ヶ月しかないぞ」 それでも、ぐっと拳を握り締めて前に突き出して付き合えと喚く彼女はロック歌手にでもなったら一躍スターになるのではないだろうか。 「じゃ、『イ』から始めようか。カガリ、姿勢注意して」 練習するしかないな。と落ち着いたところで、昔ピアノをやっていたというその男が、何気なしに彼女の伴奏をしてもいいかと言う。 「ごめん。ちょっとカガリ借りてもいい?」 「あっ、ああ」 「なんだ、キラ邪魔するなよ」 悪気やたくらみが合ったとは思えない。生き抜きも必要だし、彼女とキラという奴は随分と親しそうだったから、俺も、気にせず席を譲った。簡単な打ち合わせをして声合わせを始めた彼女。 「どうだ、アスラン? 結局何時もの感じだけどな!」 「うーん、だがベルカントは避けて通れない道だし、ここにいる内に覚えたほうが・・・」 「まあまあ、試しに一回歌ってみてよ」 その音色を聴いて。彼女の歌を聴いて、驚いたのを覚えている。 歌い方に拘らず、大胆なアレンジで原曲は留めていなかったけれど、いきなり現れた男のほうが、ずっと彼女の声を引き出していた。 彼女は今まで見たことがないくらい気持ちよく歌っていた。 「やっぱり、お前に弾いてもらうと歌いやすいな!」 「カガリにはこっちの方がいいよ。無理にオペラっぽくしなくてもさ。君もそう思わない?」 曖昧に笑って、そうだなとか、その方がいいよとか、言って肯定した。 「お前のほうこそ、ちゃんと準備しているのか?」 「あー、俺は弾かないよ。替わって貰ったんだ」 俺はこの時ほど、同期の奴に出番を譲って正解だったと思ったことはない。 一週間後、彼のアレンジによる彼女のコンサートは大喝采で終わる。 「一時はどうなることかと思ったけど、何とかなったなっ!」 「すごく良かったよ、声出てた」 コンサートには例の彼女の知り合いって奴やその友人とやらも来ていて、抱き合って喜んでいた。 「僕の言う通りやれば大丈夫だって言ったでしょ」 「今夜はお祝いですわね」 彼の連れは有名な歌手でラクス・クライン。そして俺は、アレンジを変えてカガリの力を引き出した男が今話題の新星、指揮者のキラ・ヤマトだと知った。 「君もカガリの伴奏お疲れ様」 「アスラン。ありがとうな、今度はお前のピアノも聞かせろよ」 「何言ってんのさ。君の歌声の前に霞んじゃうんじゃない!?」 笑いあう三人に混じる気になれない。 悪気があったわけじゃないという事は百も承知だ。 けれど俺は、一週間と立たないうちに彼女にペア解消を申し出た。自分のことより彼女に申し訳なかったのだ。俺と違って、彼女はこの先経験を積んで上手くなるだろう。未熟な唱法も今後練習して身に着けるだろう。持ち前の明るさや前向きな性格がどんどん表現力に繋がっていたから。 それが俺はどうだ? 誰か一人でも今まで、俺のピアノを聴いていた奴がいたか? 俺のピアノに感動した奴なんていたか? これが俺の限界だった。 後でその男が彼女の兄だと知っても決断は変わらなかった。指揮者は人を見る目がある、おそらくは俺よりはずっと。 つまりはそう言う事だ。 主席だと持て囃されただけで、本当は才能などなかったのだ。 ただ、弾いているだけのどこにでもいる人間だったのだ。 その年の秋、俺は音楽院を卒業して、何処の楽団にも属さず、音楽祭にも出ずに故郷に帰った。競争相手がいなくなることに歓迎することはあっても、引き止める奴などいなくて、見送りに来たのもカガリと、あの兄だけで。 「お前・・・連絡くらい寄こせよ」 カガリが泣きながら言うのには正直驚いたし、少し嬉しかった。 別れ際、彼女の兄が荷物を運ぶと言ってゲートの手前まで並んで歩く。 「だから、君のピアノを誰も聴けないんだよ」 「は?」 何が、『だから』と言うんだ。 「まじめにやる気あるの? そんな音で誰が聴くのさ」 俺は相手の顔をまじまじと見つめ、そして睨みつけた。 お前に何が分かる! 「どうせ俺は伴奏するのが精一杯の人間さっ」 「・・・その程度で・・・ピアニストを名乗るのやめてよね」 言い合いを止めに来たカガリを見て、俺は慌てて荷物を引っ手繰ると、逃げるように出国ゲートに向かった。 家出同然で飛び出した俺が事業を営む父の元に帰れるはずもなく、生活するために仕方なく弾き始めたのがミネルバ。 ここで俺は随分と救われたと思う。 ここでは誰も俺のピアノを聴いていない。ただ、空間を壊さないだけの音の羅列。客が全く聴いてなくも俺はピアノを弾くことで給料が貰えたのだ。 それから一年半。 カガリの兄というキラが、なぜ。 「離してくれないか」 「そうだね」 正午前のスカイラウンジには、いつの間にか下界の音が届くようになっていた。港の汽笛、遠く聞こえるサイレン。 「探したんだ。あの後、カガリに僕すごく怒られちゃって」 そんなことを今更なぜ? 「どこにも君の名前がないから、こんなに時間がかかってしまった。君のお父さんの会社まで社員にいるんじゃないかって調べちゃったよ。それが、まさか・・・ね・・・」 彼が窓の外を見る。 ここはミネルバ。88階にある最上階スカイラウンジ。 見渡す視界に遮蔽物はなく、果てしなく続く水平線と地平線の交わる先を望める場所。夜は夜空と地上の星の間に浮かぶ別空間となる。 「どうして無名のままステージに出てるの。しかも給仕係までして」 「ピアノは止めたんだ」 「でも、今は弾いていたじゃない」 なぜ、今頃になってこの男は現れたのだろう。 ピアノは食費を稼ぐためで、来年からは、生活費兼学費に変わる予定だ。 「本当はあの時のことを『ちょっと言い過ぎだった』って誤った後、すぐ帰るつもりだったんだけど、気が変わった、かな」 彼が下界から視線を戻して、再びピアノの前に座る俺を見る。 紫の双眸は相変わらず真意が読めなくて、彼と俺の差を認識させた。あの時、期待の新星だった指揮者は、今はもう立派な指揮者になって活躍しているのだろう。そんな、プロとしての威厳、オーラのようなものが感じられた。 「オケの公演でピアノを頼んでいた人が調子悪くてさ、君、替わりに出てよ」 何を・・・言っているんだ・・・? オケ? 公演? 「そんなこと、できるわけがないだろう!」 「僕って、意外と完璧主義者だからね」 ピアノのフロントカバーに肘を突いて、再び手を掴もうと手を伸ばしてきた。反射的に身体を引いて避けたが、彼は目を細めて薄い笑みを浮かべた。 「もう決めたんだ」 「いい加減に・・・っ!」 「間に合った―――っ!」 なんとも軽いタッチで飛び込んできたのは店長だった。張り詰めた空間はまるでコンサート前の静まり返ったホールのようだったのに、途端に午後のけだるい空気が雪崩込んできた。 「店長・・・」 「あれ、誰、君?」 トライン店長がピアノの横に立って屈み込んだ青年を目に止めた。 「また来るからさ」 颯爽と去っていく青年の背中を二人して見送っていると、入れ替わりに頼んでいた調律士がやって来た。俺達がデパ地下のお弁当を食べている前で、早速作業を始める。 「うわ、これ・・・相当ひっどいですね。アクション、ボロボロだ」 戻る 次へ アスラン回想編その1です。キラ様はほら、身内に100%甘い人ですから、身内意外には100%厳しい人ですから・・・。ピアノコンチェルトどれがいいかのう